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死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の500日 [本、映画、テレビ他]

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昨晩、死の淵を見た男を夜遅くに読了した。
誤解を恐れずに言うのならば、ため息が出た。
ええっ、これで良いの?と
それは、吉田所長をヒーロー化していると感じたからだ。
死者に鞭打つつもりは毛頭ないが、彼はヒーローではないと思う。

もちろん、見えない放射能をコントロールするために
吉田所長をはじめ多くの関係者が驚異の仕事をされた。
心よりお礼申し上げたい。

福島告訴団の「それでも罪を問えないのですか」を途中にして
死の淵を見た男」を読み始め、そして御嶽山の火山爆発があった。
すべてがキーワードである。

ルポは起きてしまった津波から始まっているから、その前について不問としているのは仕方ないが、それでも東電サイドの本に思えてしまう。
もし、最初にこの本を読んだなら、これがすべてと思ったなら、福島の嘆きを知らなかったら
私でも言うかもしれない。
被災者たちに・・・・・
福島第一ではみんな死を覚悟して一生懸命頑張ったのですよ
だから仕方ないじゃないですかと

物の見方は、その立ち位置で決まる。
3年半たって、原発関係者で何人亡くなられたのか分からないが
当初は、津波によるお二人だった。
しかし、避難者たちはその後50人くらい自死している。この先に絶望して・・・・・・・
いまだ、家に戻ることができない人が16万人もいるし、作付けもできない。
作っても売れない。
癌になった方も多いに違いない。

現場では、私たちがテレビで見た建屋の爆発も知らない。
何が起こったのか、確認しなくてはわからなかった。
全電源喪失、そして冷却ができない。
こんな恐ろしい事が、あの時現場の人も一部の人しかわからなかった。
あってはならない事だと思う。
原子力の恐ろしさを一番熟知しているプロ集団だからこそ
やるべきことは、地域の生活と財産(自然等も)を守る事だと思う。
危険を伴ってもやらねばならぬ事であったと思う。

いくつもの幸運に恵まれてようやく今の事態だが
これで良いわけはない。
不眠不休で、命を賭して、立ち向かったという事でこれを終わらせては
いけないと思う。
原発の場合、経過より結果である。放射能は拡散されてしまった。

官邸と東電との意思疎通もうまくいかなかった。
すべて、官邸サイドが悪いように書かれているが
そうだろうか?
確かにイラ菅と言われた菅さんが苛立ち、罵倒したようだが
何とかしろ! 命がけでやれ!とは言うだろう。立場上では。
ヒール菅としての場面が多い。

それより吉田さんと本社側との事がほとんど書かれていない。
それが一番おかしなことだと思った。
やり取りは官邸以上に毎日あったはずなのに、書かれていない。
あまりに不自然だ。参考文献では各種報告が出ていたが
東電と吉田氏との絡みはほとんど書かれていないのである。
本来ここを探ることが
一番死の淵を見た男にふさわしい内容になるのではないだろうか
東電幹部は事故後退職し、一時海外へ行っていた。
あまりに、被災者をないがしろにしている。

朝日新聞の件だが
もうダメだと思った時に吉田所長から指示が出た。
「各班は最少人数を残して退避!」
「必要な人間は班長が指名する事」
この時点で免震重要棟には600人以上残っていたが
その時混乱が起きた。
基準のない必要最少限という言葉に 当然残るべきベテランも
出ていってしまった。
その時の事は吉田所長は思い出したくないという。
信頼していた人まで、第二福島へ退避してしまったのである。

このあたりが、朝日新聞の誤報?となったのではないだろうか

確かに、吉田所長だからこそあの混乱をまとめられたのかもしれない。
男気があり、度胸もある。それは認める
しかし、災害については楽観視していたように聞いている。
津波は10メートルを想定していたようだ。
御嶽山も過去に噴火はあったが、やはり突然の噴火
原発の場合、人が制御できないのだから想定とはあってなしのごとくと思う。
それに費用がかかることを躊躇するなら最初から原発など作らぬ方が良い。

メルトダウンして、250キロ圏が避難地域となったなら
北海道、西日本を除いては絶望的であった。
それが回避されたことは僥倖であるにしても、
今現在多くの方が辛い生活をされている。
だからこそ、皆が一生懸命頑張ったと美談で終わらせてはならないと思う。

ちなみにカスタマレビューを読んだが
感動したという意見が多かった。
私はそうは思わなかった。

ふと、思い出した小説がある。実話でもある
三浦綾子の「塩狩峠」
主人公は乗客を救うため、自ら列車の下敷きとなり列車を止めた。


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コメント 8

たぬ吉

詳しくないですが
行った先に対応するが政治

考えられる全てをやるが現場

いつもギャップがあるけど、政治の方を鵜呑みにしたがる人は多いね。
政治はきついこと言わないし
皆さん自分に甘いし。。。。

by たぬ吉 (2014-09-29 18:20) 

majyo

たぬ吉さん、長野からですか?
現場は本当に頑張ったと思いますよ。
しかし、大きな力が働いていると思います。
本の発売まで。
ちょっと納得できませんでした。

by majyo (2014-09-29 19:30) 

ねじまき鳥

やはり今のところ本当のことは書けないでしょう。戦争中の大本営発表と何も変わってない日本です。良くも悪くもこれが日本人の気質でしょうね。

by ねじまき鳥 (2014-09-29 21:35) 

majyo

ねじまき鳥様
昨夜考えたのですが、多くの東電関係者のインタビューが取れたのも
会社の意向に沿って書くという暗黙の了解があったからでしょう。
レビューは絶賛が多かった。もしかしたら関係者が意図的に入れたのかもしれません。日本人の気質とは? いやなものです
by majyo (2014-09-30 05:53) 

こっこ

長いものには巻かれろ

出る杭は打たれる

もっと長なったるし
もっと出たる
by こっこ (2014-09-30 09:59) 

コッホ

著者の門田さんはもともと右寄りの人みたいですから、
間違いなく原発推進派で、
読者もそれを承知で読むのなら、「表現の自由」ですから、
良いと思うのですが、どうもその辺の配慮、
バランス感覚に欠ける人が、多いような・・・。

昨今の「ヒーロー待望論」は、なんなのでしょうね?
特攻隊員のことを「ヒーロー」と思うか、
ただの「かわいそうな人」と思うかで、
福島の作業員への見方も、
だいぶ変わってくるような気がします。

by コッホ (2014-09-30 10:55) 

majyo

こっこさん
いやあ、力強い! その通り!
弱いものいじめは嫌いだけれど、強いものにはそれが違うのだったら
刃向うよ。
出る杭は
モグラたたき、たたかれてもまた出る!
by majyo (2014-09-30 13:19) 

majyo

コッホさん
著者については初見でした。
何も先入観が無かったので、なんじゃこりゃ??
そんな感じで、読後感が悪かった。
マジョは右も左もない真ん中だと自分では思っていますが
こう政権が極右にいくと、左気味に見えるかもしれません。
福島の作業員は複雑で、ほとんどが下請け(7次くらいある)
その方たちは保証もない。
大事な原子力を丸投げの東電体質は疑問です。
by majyo (2014-09-30 13:27) 

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